インフルエンザワクチンについて

1)インフルエンザについて


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インフルエンザウイルス(国立感染症研究所HPより)

<インフルエンザウイルス感染による症状>


感染して1~3日間ほど経って、発熱、頭痛、ダルさ、節々の痛みなどが突然現われ、咳・鼻水・咳などの症状が続き、約1週間で軽快します。
小児(特に幼児)では急に悪化するインフルエンザ脳症が年間50~200人報告されており、その約10~30%が死亡しております。しかし中枢神経内にインフルエンザウイルスが見つかっておらずウイルスの直接感染よりも感染に対する反応の一種とされています。


<感染部位>


主に上気道粘膜に感染し、気道上皮内で増殖・発症します。そのため潜伏期間は1~3日と非常に短くなります。
他のウイルス感染(麻疹や風疹等)ではウイルスは侵入局所では増殖せず、離れた部位で増殖・ウイルス血症(血液の中でウイルスが増えた状態)になった後に発症します。そのため潜伏期間は長く平均8~20日となります。

2)インフルエンザワクチンについて


<ワクチンの種類>


現在世界では多様な種類のワクチンが存在しております。
毎年少しずつの変異と数年~数十年の周期で急激に変異・大流行するため、ワクチン株は世界規模での地道な調査と予測により決定されます。


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(国立感染症研究所Hp資料より作成)

日本では1970年代までは全粒子ワクチンを使用しておりましたが、副作用の問題から全てスプリットワクチンに移行したそうです。



生ワクチン


  • 経鼻ワクチン(粘膜免疫:IgA抗体誘導可能):日本では保険認可されていません。

不活化ワクチン


  • 全粒子ワクチン(不活化したウイルス全てが入る):以前使用されていたワクチン

  • スプリットワクチン(全粒子ワクチンのRNA・脂質層を取り除いたもの):日本の季節型ワクチン

  • サブユニットワクチン(抗原部分のみを分離したもの)

<インフルエンザワクチンが免疫を作るために>


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(大阪大学免疫学フロンティアセンターHpより)

現在日本で用いられているスプリットHAワクチンですが、ワクチンが効果を発揮するために必要なⅠ型インターフェロンを産生するためのスイッチとなるウイルスRNAを含んでいません。
そのためワクチンとしての効果は弱く、注射したインフルエンザ株と同じタイプのインフルエンザに過去に罹患していた場合のみ、免疫記憶を刺激してIgG抗体を作ることができます。(過去に感染していなければ勿論作ることはできません)


3)スプリットHAワクチン(季節型ワクチン)はインフルエンザを予防できるか?


上記のようにインフルエンザウイルスは他のウイルスとは異なり、感染部位は気道局所であり気道上皮内で増殖し発症します。そのため感染防御は粘膜面での防衛のための免疫(粘膜免疫)が非常に重要であり、主にIgA抗体と血管からわずかに滲み出て来たIgG抗体が液性免疫として働きますがIgG抗体だけでは防ぐ事が難しいと考えられています。


更に抗体の特異性としてはIgA抗体はウイルスの変異に対応する事はある程度可能ですが、IgG抗体は変異ウイルスには対応できません。


最大の問題はスプリットHAワクチンで作ることのできる抗体はIgG抗体のみでIgA抗体は産生され無い事です。(E.van Riet et al.,Vaccine,30,5893(2012))



日本国内で流通しているインフルエンザワクチン(スプリットHAワクチン)については、


  1. 過去に同じ種類のインフルエンザに感染していた場合に限り免疫(IgG抗体)を高める効果がある。但し血管から滲み出たIgG抗体によってのみの防御であり、IgA抗体が産生され無いため感染防御効果は期待出来ません

  2. 重症化を防げるのはIgG抗体の効果が期待できるインフルエンザ肺炎のみです。インフルエンザ脳症は反応性変化のためワクチンでは防御できません。

  3. 変異ウイルスに対しては全く効果がありません




















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